2026年7月29日、日経平均株価は前日比930円73銭安の6万1,434円19銭で引け、約2カ月ぶりに6万2,000円を割り込みました。ドル円は163円台後半で膠着し、米FOMC(7月28〜29日)と日銀の金融政策決定会合(7月30〜31日)を控えています。
相場がこの水準まで来ると、外貨預金を持つ方の関心は「いつ円に戻すか」に移ります。ただし円転した瞬間に、多くの場合は課税が発生します。この記事では2026年7月時点の国税庁資料をもとに、外貨預金の為替差益がどの所得になり、いくらから確定申告が必要になるのかを整理します。
会合前後の為替の動き方そのものはFOMC・日銀会合2026|円安163円の行方と両替タイミングで扱っています。本記事は「動かしたあとに何が起きるか」=税金の側に焦点を当てます。
2026年7月29日の市場と「円転」の関係
日経平均は930円安、2カ月ぶりの安値圏
7月29日の東京市場では、韓国の半導体大手の決算が失望と受け止められ、AI・半導体関連に売りが広がりました。日経平均は2日続落し、終値は6万1,434円19銭(前日比930円73銭安)となりました。
ドル円は163円台後半、日米ダブル会合の直前
為替はやや円高方向に振れました。7月28日のニューヨーク市場のドル円は、始値163.75円・高値163.95円・安値163.64円・終値163.85円。29日朝の東京市場も163.80円前後で始まっています。
日銀は7月30〜31日の会合で、政策金利1.00%の据え置きが見込まれています。1.00%という水準は2026年6月の引き上げによるもので、1995年以来31年ぶりの高さです。米国の政策金利は3.50〜3.75%です。
なぜ今「税金」を先に確認すべきなのか
円安が長く続いた結果、数年前に預けた外貨預金には大きな評価益が乗っている場合があります。ここで円に戻すと、その評価益は「実現した所得」になります。
つまり判断材料は「レートが有利かどうか」だけではありません。税引後にいくら残るかまで見ないと、比較そのものが成立しません。
外貨預金の為替差益はどの所得になるか
結論から書くと、為替予約を付けているかどうかで課税方法が変わります。2026年7月時点の取り扱いを表にまとめます。
| 区分 | 課税方法 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 為替予約なしの為替差益 | 雑所得として総合課税 | 原則必要 |
| 為替予約ありの換算差益 | 20.315%の源泉分離課税 | 不要 |
| 外貨預金の利息 | 20.315%の源泉分離課税 | 不要 |
為替予約なし=雑所得(総合課税)
あらかじめ円への換算レートを決めていない通常の外貨預金では、円転時に生じた為替差益は雑所得となり、給与や事業所得などと合算して課税されます(総合課税)。
総合課税の所得税率は、分離課税に対するものなどを除くと5%から45%までの7段階の超過累進税率です(国税庁 No.2260 所得税の税率/2026年7月29日確認)。ここに住民税が別途かかります。
したがって、同じ100万円の為替差益でも、その年の他の所得がいくらあるかで手残りは変わります。金融機関の公式説明でも、為替差益は雑所得として総合課税の対象となり確定申告が必要とされています(PayPay銀行 外貨預金の税金/2026年7月29日確認)。
為替予約あり=20.315%の源泉分離課税
一方、元本と利子をあらかじめ定められた利率により円または他の外貨に換算して支払うこととされている外貨建預貯金の換算差益は、「金融類似商品の収益」に該当します。この場合は一律20.315%(所得税15.315%・地方税5%)の源泉分離課税で、源泉徴収だけで課税関係が終了します(国税庁 タックスアンサー No.1520 金融類似商品と税金/令和7年4月1日現在法令等・2026年7月29日確認)。
この所得は他の所得と合算して確定申告する必要がなく、扶養親族などの判定に使う合計所得金額からも除かれます。所得税15.315%のうち0.315%分は、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得に課される復興特別所得税です。
同じ「外貨預金の為替差益」という言葉でも、この2つはまったく別の扱いになります。ご自身の商品がどちらなのかは、取引した金融機関の商品説明書で確認するのが確実です。
為替差益の計算方法【2026年7月時点】
基本の考え方と計算例
為替差益は「払出時の円換算額 − 預入時の円換算額」で求めます。仮に1ドル=140円のときに1万ドルを預け、1ドル=163円で円に戻したとすると、次のようになります。
| 項目 | レート | 円換算額 |
|---|---|---|
| 預入時(1万ドル) | 140円 | 140万円 |
| 払出時(1万ドル) | 163円 | 163万円 |
| 為替差益 | 差23円 | 23万円 |
この23万円が雑所得になります(為替予約なしの場合)。数値は説明のための仮定であり、実際の適用レートは金融機関が定めるものを使います。
「同じ通貨のまま預け替え」では差益を認識しない
ここが見落とされやすい点です。国税庁の質疑応答事例では、米ドル建て定期預金を満期時に全額払い出し、同じ米ドル建てのまま別の銀行へ預け入れたケースについて、為替差損益を認識する必要はないとされています。
理由は、同一の外貨で預入・払出が行われ、その金額に増減もなく、実質的には外貨を保有し続けている場合と変わらないためです。根拠法令は所得税法第57条の3、所得税法施行令第167条の6とされています(国税庁 質疑応答事例「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」/令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく・2026年7月29日確認)。
言い換えると、課税の起点になるのは「円に換えた(または別通貨に換えた)タイミング」です。銀行を移し替えただけで課税されるわけではありません。
外貨のまま使った場合はどうなるか
外貨をそのまま海外での支払いや外貨建て商品の購入に充てた場合は、円転していなくても外貨建取引として円換算が求められる場面があります。取り扱いは使途によって変わるため、金額が大きい場合は個別に確認したほうが安全です。
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確定申告が必要になるラインはどこか
給与所得者の「20万円ルール」
給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる方の場合、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超えると確定申告が必要になります(国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人/2026年7月29日確認)。
ここでいう20万円は、為替差益だけの金額ではありません。副業やその他の雑所得と合算した金額で判定します。2か所以上から給与を受けている場合など、条件が異なるケースもあります。
20万円以下でも住民税の扱いは別
この20万円ルールは所得税の申告義務に関する規定です。住民税には同じ規定がないとされており、20万円以下であってもお住まいの市区町村への申告が必要になる場合があります。判断に迷う場合は自治体の窓口で確認するのが確実です。
為替差損が出た場合の通算
円高方向に振れて為替差損が出た場合、雑所得の内部での通算は可能とされています。つまり同じ年に赤字の雑所得があれば、確定申告で相殺する余地があります。
一方で、雑所得の損失を給与所得や事業所得と損益通算することは、一般にはできないとされています。個人事業主の方の申告全体の流れは個人事業主の確定申告完全ガイド2026にまとめています。
円転タイミングを考えるときの実務ポイント
「税引後」で並べて比べる
為替予約なしの外貨預金では、為替差益は総合課税です。所得が多い年に円転を集中させると、適用される税率区分が上がる可能性があります。逆に所得が少ない年に分散させるという選択肢もあります。
ただしこれは「相場を読む」話ではなく「自分の所得を読む」話です。相場の方向を当てにいく前提での判断は、外れたときの損失も引き受けることになります。2026年度の控除額の考え方は令和8年度税制改正で経営者の手取りはどう変わるかも参考になります。
税より先に効くのが為替コスト
実務上、先に差が出るのは往復の為替手数料です。1ドルあたり片道1円の為替スプレッドがかかる口座で1万ドルを往復させれば、それだけで2万円が消えます。税率の話に入る前に、ここを確認する順番のほうが取り返しが早いと感じています。
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預入日ごとのレート記録を残しておく
筆者は法人の外貨入金を受ける口座と個人の外貨預金を分けて管理していますが、一部を円転しようとしたときに手が止まりました。通帳の残高では預入時のレートが追えず、取引明細を全期間分CSVでダウンロードし、入金日ごとの換算額を組み直す必要があったためです。この再構成だけで2時間ほどかかりました。
積立のように複数回に分けて預け入れている場合、この作業は後回しにするほど重くなります。入金のたびに日付とレートを記録しておくだけで、申告時の負担はかなり軽くなります。海外に居住地がある場合の論点はデジタルノマド税務トラブル完全対処法2026を参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 円に戻さなければ課税されませんか?
為替予約のない通常の外貨預金では、課税の起点は円転や他通貨への交換など「換算が行われたタイミング」です。外貨のまま保有しているだけの評価益に対しては、一般に課税されないとされています。ただし外貨のまま支払いに充てた場合の取り扱いは使途により異なります。
Q2. 銀行を変えるために外貨を移しただけでも申告が必要ですか?
国税庁の質疑応答事例では、同一の外貨のまま別の金融機関へ預け入れたケースについて、為替差損益を認識する必要はないとされています。同じ通貨で金額の増減もない場合は、実質的に外貨を保有し続けている状態と変わらないという整理です。
Q3. 為替差益が20万円以下なら何もしなくていいですか?
所得税の申告義務については、給与所得者で一定の条件を満たす場合、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば申告不要とされています。ただし住民税には同じ規定がないとされているため、市区町村への申告が必要になる場合があります。
Q4. 為替予約付きかどうかはどこで分かりますか?
商品説明書や契約時の条件に、円貨への換算レートをあらかじめ定めているかどうかが記載されています。「あらかじめ定められた利率により円または他の外貨に換算して支払う」タイプであれば、金融類似商品として源泉分離課税の対象になります。判断がつかない場合は取引先の金融機関に確認してください。
まとめ
外貨預金の為替差益にかかる税金は、為替予約なしなら雑所得として総合課税、為替予約ありなら20.315%の源泉分離課税という二本立てです。給与所得者は他の所得と合算して20万円を超えるかが申告の目安になり、同一通貨のままの預け替えでは差益を認識しないとされています。
2026年7月29日時点で日経平均は6万1,434円19銭、ドル円は163円台後半。日米の会合結果が出る前に、まずご自身の口座が「為替予約あり・なし」のどちらかを確認し、預入日ごとのレート記録を整えておくことが実務の出発点になります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の税務の取り扱い・確定申告の要否については、税理士・公認会計士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご確認ください。特定の金融商品の売買や円転を推奨するものではなく、投資判断・資産運用の判断はご自身の責任で行ってください。税率・制度条件は執筆時点のものであり、最新情報は国税庁・日本銀行など各発表主体の公式サイトでご確認ください。
※本記事は2026年7月30日(日本時間)に公開した内容です。市況の数値は2026年7月29日の日本市場の終値および同日のニューヨーク市場の値、税制は2026年7月29日に国税庁公式サイトで確認した内容にもとづいています。
